屋上の落書き


 

勉強、つまんない。

友達付き合い、つかれた。

学校、いきたくない。

ここから、逃げ出したい。


私は、そんなことから逃げ出すため

屋上へとでた。

要するにサボリ。

なんか、精神的にだるくて

もう、教室には戻りたくない。




雨宮 凪 Amamiya Nagi

永沢 連 Nagasawa Ren



空は澄みきって、きれいな青色をしていた。

太陽の光があたり、ときどき風が吹く。

凪にとってとても心地よい空間だ。

「はぁ〜〜。」

ため息をついた。

凪は、フェンスによしかかり、何もない空を見つめた。


そのとき、

ピロロロロロッ

凪の携帯がなった。


−−−−−−−−−
Dear 凪

どしたの?サボリ?

みんな心配してる

から、早めに戻って

きてね。

From 優奈
−−−−−−−−−

友達の優奈からだった。

【みんな心配してる】


どーせ、嘘に決まっている。

うわべだけ。

うわべだけの友情。

表では仲良くても、

裏へいけば、悪口をいったりする。

そんな友情ごっこに私は疲れた。

最近は、授業もろくにうけないせいで、

内容が分からなくなってきた。


特に楽しいこともなく、毎日の生活が

とてつもなくつまらなく、無駄に思えた。


返信する気もなく、凪はその場にしゃがみこんだ。

そして、屋上の床を何の意味もなく眺めていた。


数分後

何も考えず、凪は床を見つめたままだった。


「・・・・・・!?」

凪は屋上の床に鉛筆が転がっていて、その横に落書きがあるのに

気がついた。

すこし丸まり、色がところどころ剥げている鉛筆の横には

涙を流した男の子の絵が描かれていた。

そして、男の子のよこに

【つまんない。】

そう小さく書かれていた。


何を思ったのか、凪はその鉛筆をひろい

その絵の横に

【私も。】

そう、小さく書いてみた。


なんだか、その絵をかいた人と同じような気持ちになったから。




このとき、屋上の床にかかれた小さな落書きが

凪の運命をかえるなんて、神様ですら夢にも

思わなかっただろう。

凪は、しばらくその落書きを眺めていた。

絵からはよくわからないが、文字的に男子だろうか。

誰が書いたのだろう。

いつしかそんなことを考えはじめた。


だが、しばらくするとだんだん眠くなって、ついに寝てしまった。



キーーンコ−−ンカ−−コー−ン


「あっ!!!」

凪はあわてておきた。

空は、オレンジ色に染まり、校門へと走る生徒や手をふり

「また明日。」といった感じであいさつする生徒の姿が見えた。

風は寝る前よりも冷えていた。

「もう放課後か・・。帰ろ・・・。」

そう一人つぶやくと、静かに家にかえった。


気づくと私はいつもとは違う世界にいた。

「あははははっ。」

どこからともなく楽しそうな笑い声がした。

目の前には、友達と楽しそうにあそぶ私の姿があった。

悩みや苦しみなどまったくないような笑顔で

はずむように遊んでいた。


自分があそんでいるわけではないが、その場所の

ここちがよくてこの時間が永遠に続いてほしいと思った。






屋上の落書き(V)へ