愛しすぎた少女(Y)


 

そのとき、警察官の人が部屋の中へ入ってきた。

「綿野鞠絵さんでいらっしゃいますよね?綿野秀俊さんの娘さんの。」

「はい。なにか。。」

「鞠絵さんのお父さんが死ぬまえに書いたと思われるメモです。」

警察官はそれだけを言い残して、部屋を出て行った。


『鞠絵へ

すまない。約束を守ることはできなさそうだ。

お父さんは、歌凛やお母さんたちのいるところへいくと思う。

鞠絵は、お父さんたちの分までがんばって生きてくれ。

ちょっと早いが、お父さんたちはあの世でまっている。

ごめんな。そして、さよなら。 
                
                      お父さんより』


「お父さーーん。。。。」

涙がでてとまらなかった。

その日の夜は、ずっとお父さんのそばで泣いていた。

一生分の涙がなくなったかと思うくらい、たくさんの涙を流して。


歌凛もお母さんもお父さんも元はと言えば、私のせいで死んだ。

弁当をわすれなければ、歌凛は死ななかったかもしれない。

5丁目の交差点を通らなければ、お母さんは死ななかったかもしれない。

メールを無視しなければ、お父さんは死ななかったかもしれない。

そして、私は自分を責めた。

「みんなと一緒にいたい。みんなだけ先にいってずるいよ。」



気がつくと、私はいつかの夢と同じ部屋にいた。

洋風の女の子らしい部屋はどこも変わっていなかった。

ただ、変わっていたのは少女の死体がどこにもなかったことだけだった。

そこで私は叫んだ。

「何で、こんなことするの?!私の運命が変わったのは

あなたのせいだよ!どうしてくれるの。。。。

何で、私にばっかりつらい想いをさせるの??」


そのとき、あの血まみれの女の子が現れた。


「遊んでくれないから、悪いんだよ。そんなに寂しいなら、

家族のところへいけばいいじゃない。」


そこで私の夢は終わった。

『家族のところへいけばいいじゃない。』

その言葉が頭の中で何度も何度も繰り返し流れていた。











自殺











この言葉が頭の中に浮かんだ。

私は、近くにあったカッターを手にとった。

「あはははははははは。なんで気づかなかったんだろう。。

お母さん。お父さん。歌凛。今いくよ。あはははははは。」

私は、狂ったように笑った。

まず、私は自分のうでに傷をつけた。

皮膚がすーぅっときれ、血が滲み出した。

「きれいな血っ。」


私は、そういうと笑みを浮かべた。

そして、私は次々に自分の体を傷つけた。

錆びた鉄のような血の臭いがただよう。

私の目には真っ赤な血が写っていた。

真っ白だったシーツは真っ赤に染まっていた。

「きれい・・・・。」


痛みより家族に会えるという気持ちのほうが大きかった。

「今、いくよ・・・・。うっ・・。」

そして、私は自ら命を絶った。



チャラリ〜ン。

【私と同じように。幸あれ】




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