屋上の落書き


 
連と別れると凪は屋上へと向かった。


凪は、あの落書きのところへと猛ダッシュで向かった。

一刻も早く書きたかったのだ。


ギィーーーッ。

そこにはまだ誰もいなかった。

いつものように太陽の光があたってコンクリートが暖かかった。

そして、落書きのところへいくと新たな落書きがあった。

【俺、告白する。】

短いけど力のある言葉だった。

がんばってほしいという気持ちが自然と出てきた。


しばらくすると、凪は自分のことを書きだした。

【好きな人が告白してくれた。今日からは恋人だよっ。】

そして、周りにたくさんハートを描いた。


そのとき、階段を上ってくる足音がした。

ギィーーーーーッ。


「わっ。凪ぢゃん。」

そこには連の姿があった。

凪はあわてて落書きをやめた。

こんなこと書いてたの見られたら恥ずかしいからだ。

「凪もよくここくるの??」

「うん。いっつもね。」

「おれと一緒だ。」

そんな風に連と話していると、凪はだんだん気持ち良くなって

眠くなってきた。

そして、凪はそこでうとうとと寝てしまった。


キーーンコーーーンカーーコーーン

「わっ!」

チャイムの音で凪がびっくりして起きると、そこには連の姿がなかった。

「寝ちゃったんだ・・・・。」

そう独り言をつぶやくと凪は、立ち上がり時計をみた。

「えっ。やばっ。もうお昼じゃん。」

時計は、お昼の1時を指していた。

朝、ここへきてからずっと寝ていたのだ。

ふぅー。と深呼吸をして凪は背伸びをした。

「んん〜〜〜。よく寝たっ。」


そのふと瞬間、凪は落書きを見た。

すると、そこには新たな落書きがされていた。

【俺も告白成功した。】

告白、成功したんだ。と凪までうれしくなっていた。

本当によかった。

凪は心からそう思っていた。

そして、よく見ると男の子の絵の横に可愛い女の子の絵が描かれていた。

「わっ。かわいい。」

そんな言葉が漏れてしまうくらい、かわいらしい愛嬌のある絵だった。

この子は、彼女なんだろう。

こんな可愛らしい彼女、うらやましいな。

凪はそんなことも考えていた。

凪は、そのまま教室へ向かうことにした。

教室へ向かう途中、ちょうど連のクラスの前をとおった。

連は、つくえにあるノートに向かって何かを書いていた。

そのときの連は、とても真剣でいままでにみたことがないような表情をしていた。

だが、しばらく連の姿を眺めているとこっちに気づいたようだ。

連は、笑顔で手を振ってきた。

凪は、その笑顔がとてもうれしかった。

たったそれだけのことだけどすごくうれしかったのだ。

凪も最高の笑顔で手をふりかえした。

そして、凪は教室へと入った。

すると、クラスメイトが近寄ってきた。

「凪!久しぶり。さっき見てたんだけど、永沢君と付き合ってるの??」

初めてされた質問にすこし戸惑ったが、自信を持って凪は答えた。

「うん。付き合ってる。」

『付き合っている』この言葉でだんだん連と付き合っているんだという実感が湧いてきた。

「永沢君、モテるからいろいろ大変だけどがんばってね。」

そんなクラスメイトの言葉を聞いて、連がもてるということをはじめて知った。

そうだよね。連、かっこいいし。

なんでモテるって気づかなかったんだろう・・・・。

凪はそんなことを思いながらも、わけの分からない授業を聞いていた。



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