屋上の落書き



ジリジリジリッ

その楽しい時間は目覚ましの音によって奪われた。

私は、急に現実に引き戻され、あまり機嫌がよくなかった。

「学校、だるぅぅ・・・・。」

学校なんか、行く気もないけど、親が厳しいからサボるわけにも行かない。

その日も私はいやいや学校へ行く準備をして、家をでた。


もちろん、教室には行かない。

屋上へ直行だった。


そのとき、昨日の落書きを思い出した。

もう、消えてるかな?

鉛筆だったし。

それともまだ、のこってるかな?

そんなことを考えながら、屋上のドアを開いた。

そして、昨日と同じ場所に腰を下ろした。


屋上の床を見て、昨日の落書きを探した。

「ぁ!!!」

私は落書きをみつけた。

そこには、昨日と違って笑顔の男の子が書かれていた。

そして、その横には、

【やった。仲間だ。】

そう書かれていた。

たった一言。

だが、その一言が私はすごくうれしかった。

そして、思わずその横に私も鉛筆で文字を書いた。

【仲間っていいね。】

そのとき凪は、ふと思った。

これって誰が書いたんだろう?

【あなたは誰?】

そう付け加えた。


今日の空は、白くてふわふわした雲がたくさん浮かんでいる。

綿飴みたいで溶けちゃいそうな雲。

その切れ間から差し込む太陽の光が私を照らしていた。


その日は午後になると学校をでて近くの公園にいった。

そして携帯をいじりながら、ときどき落書きのことを思い出した。



「仲間かぁ・・・・・。」

私は深いため息をついた。

私には本当の仲間がいない。

だからこそよけいに、怖かった。


本当に仲間なのか。

裏切られるんじゃないかって。


「ため息ばっかつくなよぉ〜。」

「えっ?!」


あたりを見回しても誰もいなかった。


「わっ!!!!」

するとどこからかいきなり人間がとびだしてきた。


「えっ。。。誰??」

その人は笑顔でいった。

「あぁ、俺??知らないの??隣のクラスの永沢連だよ。」

「こんな人いたんだぁ。」

髪は茶色にそめ、耳にはピアス。

制服も着くずしているいかにも不良と言った感じだ。

見た目は少し怖いが、性格はそんなに怖くなさそう。

「こんな人って・・・。まぁ、いっつもサボってるからね・・・。」

「私も最近、ぜんぜん授業うけてない。。」

「へぇ。名前は??」

「あっ。凪。雨宮凪。」

「よろしくなっ!凪。」

いきなり、呼び捨てでよばれちょっとドキッとした。




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