幸せのクローバー(U)


 

屋上へ一人ついた私は、雲ひとつない空を眺めていた。

「はぁ・・・・。」

ため息がこぼれた。

そして、いつの間にか目には涙がたくさんたまっていた。


ガチャッ。

誰かが屋上のドアを開けた。

私はあわてて涙をふいた。

「次さぼるの??」

背後からは、私の1番きらいな声がした。


「なにしにきたの。」

「あたしもさぼろっかなって?」

「いいよね。頭いいからさぼってても問題なくて。」


だんだん、話しているのがいやになってきた。

「そんなことないよ。でも、翔夜にあたしの分もノートとってもらってるから。」


ほら、また彼女面した。

私は、また涙が出てきそうになったから顔を伏せていた。

「それは、いいね。」

「ねぇ。小枝は、翔夜のことすきなんでしょ?」

「・・・・・・・・・・・。」


涙がでて、声がふるえるから何にもいえない。

「すきなのはいいけど、彼女はあたしなんだから、とらないでよ。」

「あっ。そぉ・・・。」

精一杯、泣いているのがばれないようにいった。

「じゃぁ、そろそろ戻るわ。」


ガチャッ。


人の気分悪くさせといて、逃げるなんて最低。

まぁ、いないほうがいいけどね。

しばらくして私は、涙を拭いて立ち上がった。

「もう、教室もどろっ!」


「ぇっ。もう、もどるの??」

ドアのほうをみると翔夜がいた。

「し、翔夜。」

「せっかく、ノート変わってもらったのに。」


すると、翔夜は私の横へときた。

「授業は??」

「楓にノートとってもらってる。小枝は?」

「多分、美城がとってくれてる。」

「そっか。」

さっきまで雲ひとつなかった空に丸い雲が流れていた。

「あっ!丸い雲だ。ってことは、なんかいいことあるかもね。」

私にもホントいいことあればいいのに。
 
「まじ?じゃぁ楓、デートにさそってみよっかな。」

そこには、私の嫌いなことで微笑む、私の大好きな笑顔があった。

とても、複雑な気持ちだったが翔夜の笑顔に勇気をもらえた。


キーーンコーンカーーンコーーーン

「チャイム鳴ったね。」

「そろそろ戻るか。」

「うん。」



NEXT??


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